展覧会/イベント

LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」について
LIXILギャラリー企画「クリエイションの未来展」では、日本の建築・美術界を牽引する4人のクリエイター、清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)を監修者に迎え、それぞれ3ケ月ごとの会期で、独自のテーマで現在進行形の考えを具現化した展覧会を開催しています。

「クリエイションの未来展」の第20回目となる今回は、美術評論家の清水敏男氏監修のもと現代美術の作品展Colliu「ディア マイ プリンス-Dear My Plinth-」を開催します。


展覧会のみどころ
Colliuはモデル兼アーティストです。企業広告から雑誌、ファッションショーと幅広く活躍し、同時に美術作品を制作しています。最近では、シェル美術賞入選(2015)、〈六本木アートナイト2015〉(六本木交差点)、〈Prospect-Refuge(眺望-隠れ家)〉(La foret TOILETGALLERY/2019)、〈RIMOWA Heritage Ginza〉(RIMOWA Store 銀座7丁目/2019)などで作品を発表しています。
オリジナルの人型キャラクターも登場する作品は、カラフルでフラット、単純化されたかたちが特徴的で、ドローイングや絵画、立体、インスタレーションなど様々なメディアで、独自の世界観を展開しています。Colliuは、雑誌や広告写真、街のグラフティ、映画や名画、土偶、民族人形やテキスタイルパターンなどから、制作のインスピレーションを得ています。時代や場所を超えて誰もが面白いと感じる、普遍的な親しみやすい感覚の作品を制作します。街の気分や時代の匂いを、ヴィヴィッドにパワフルに表現した作品は、一瞬で見る者を惹きつける魅力にあふれています。本展では「台座」をテーマにした新作インスタレーションを展示します。


監修者からのコメント
このたび紹介するアーティストColliuは彫刻の台座に関心があるとのことで台座をテーマにした展覧会を行うことになった。
彫刻の始祖を考えてみると日本の場合、縄文時代の土偶に行きつくだろう。土偶には台座がない。土偶が呪術の目的で製作され使用されたならば、土偶の持つ呪術性はこの現実世界になんらかの影響を及ぼすことが欲せられていたはずであり、土偶と人間との関係は直接的だったのではないか。それ故に台座は必要なかった。台座は土偶とこの現実世界を分け隔ててしまうものだからだ。
こうしたことを夢想していると、日本の例のみならず古代メソポタミアからエジプト、ギリシャから現代にいたるまでの彫刻と台座の関係を全て調べ直す必要が出てくる。古墳時代、馬の埴輪には台座がないが人型の埴輪には台座があるのはなぜか、キクラデスの小型彫刻には台座がないがギリシャの神像には台座がある、などなど多くの疑問が湧いてきてしまうのである。
話をColliuや我々が生きている現代に戻そう。私はこれまで現代作家による多くの彫刻をプロデュースしてきた。アニッシュ・カプーア、リチャード・ディーコン、安田侃、ダニエル・ビュレンヌなど私のプロデュースした彫刻にはどれも台座がない。
ロダンは彫刻を建築から解放したがまだ台座があった。マルセル・デュシャンは彫刻から「彫刻する」という行為を取り払うと同時に台座を取り払った。ブランクーシ、タトリンも時として台座を無くしたが未だ現実世界から超然とした存在だった。そうした状況に変化が出たのは20世紀後半である。具体、実験工房、アルテ・ポーヴェラ、もの派、ヨゼフ・ボイスらは彫刻を現実世界と同じ空間に置きながら非物質世界(理念)を体現する、という方向に進んできたのだった。上記の作家たちの彫刻はこうした歴史的な事態の延長線上にある。
しかし今また台座に関心が戻ってきた。Colliuは台座を制作しそれを展示室に展開する。それらの台座は色彩も形状も彼女のこれまでの作品の特徴である単純化された形でフラットで鮮明な色彩に覆われている。
しかしここで重要なことは台座の上はColliuの夢想の世界であることだ。それは床の間のような絶対空間であり、現実世界から超然としている。しかしもしも床の間ならそこになにか彫刻を置くことが可能なはずだが、ここでの台座はあまりにも個性的でありまた存在感がある。その上に物質的な彫刻を置くことは難しいかもしれない。それよりもイマジネーションという非物質的な彫刻もしくは物質感を極力無くした彫刻が似つかわしいように思われる。
そこでまた彫刻の始祖の土偶に戻るのだ。土偶のもつ呪術の力は結局はイマジネーションの世界のなかにあるのであるとしたらColliuの台座はそのイマジネーションを支えるものとしてあるのではないだろうか。20世紀の彫刻は台座を無くし非物質世界(理念)を求める歴史だったがまだ形があった。Colliuは台座を復活させた代わりに彫刻を非物質化することを試みている。果たして彫刻が物質として完全に消滅することはないかもしれないが、ホログラムのようになってしまうかもしれない。それ故に、台座を愛さずにはいられなくなるのである。
清水敏男(美術評論家)

  • Exhibition”RIMOWA Heritage Ginza” W5266×H3456mm (RIMOWA GINZA 7 chome store)2019
  • Exhibition
  • Exhibition”RIMOWA Heritage Ginza” W5266×H3456mm (RIMOWA GINZA 7 chome store)2019
  • Exhibition "Prospect-Refuge(眺望-隠れ家)" (La foret TOILET GALLERY) 2019
    photo by Mino Inoue
会期 2019年10月12日(土)~12月24日(火)
開館時間 10:00~18:00
休館日 水曜日、11月24日(日)
入場料 無料
企画制作 株式会社LIXIL

監修者および出展作家について

クリエイションの未来展 第20回 監修者
清水敏男

TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE代表取締役、学習院女子大学・大学院教授、キュレーター、美術評論家。
1953年東京生まれ。ルーヴル美術館大学修士課程修了。東京都庭園美術館、水戸芸術館現代美術センター芸術監督を経て、現在は展覧会やアートイベントの開催、パブリックアートのプロデュースを中心に活動している。主な活動に、「上海万国博覧会日本産業館トステムブース・アートディレクション」「東京ミッドタウン・アートワーク」「豊洲フロント・アートワーク」「名古屋ルーセントタワー・アートワーク」「いわて県民情報交流センター・アートワーク」「ミューザ川崎・アートワーク」、「大手町フィナンシャルシティ・アートワーク」、「東京ミッドタウン日比谷・アートワーク」、「コレド室町テラス・アートワーク」、「オノ・ヨーコ BELL OF PEACE 平和の鐘(学習院女子大学)」、「THE MIRROR」。近著に『藤田嗣治作品集』(東京美術、2018)がある。



出展作家
Colliu|コリュ
アーティスト兼モデル。目が特徴的な人型のモチーフを中心にドローイング / 絵画 / 立体作品など、様々な手法で独自の世界を発表している。

2009 武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業
2011 〈GODHAND〉三井ガーデンホテル柏(千葉)
2012 個展〈たぶんバッハチー〉island MEDIUM(東京)
2013 個展〈カメレオンは憤死する〉 WALL原宿 壁面(東京)
〈HELLO, SHIBUYA TOKYO〉 plaza singapura(シンガポール)
個展〈インナーマッスル展〉ランプハラジュクト メヒコチード(大阪)
個展〈億千万のミニサラダ〉渋谷パルコ part1 B1F ロゴスギャラリー(東京)
2014 〈国立奥多摩美術館〜13日間のプレミアムな漂流〜〉国立奥多摩美術館(東京)
〈小橋とColliuの記念撮影展〉Hikarie 8F(東京)
2015 二人展〈めくるめくまくまくり展〉GALLERY Momo Projects(東京)
〈六本木アートナイト2015〉六本木交差点(東京)
シェル美術賞2015 入選
2016 個展〈むこうがわ〉 BLOCK HOUSE(東京)
2017 〈La Rêve〉NEWoMan ART WALL(東京)
個展〈ROOM〉CALM & PUNK GALLERY(東京)
2018 二人展〈KAN-KAN〉NEW ALTERNATIVE GALLERY(鹿児島)
個展〈COTEN〉 NEW PURE+(大阪)
二人展〈KAN-KAN-NI〉hitoto(大阪)
2019 〈Prospect-Refuge(眺望-隠れ家)〉La foret TOILET GALLERY(東京)
〈RIMOWA Heritage Ginza〉RIMOWA Store 銀座7丁目(東京)
  • 撮影:白石ちえこ
  • 撮影:白石ちえこ
  • 撮影:白石ちえこ
  • 撮影:白石ちえこ
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